空を飛んだ話。 明日、私は空を飛ぶ。 何もない空に 飛びたい理由も特にない。 涙が出る理由を、私は知らない。 気持ちよくても、気持ち悪くても、ずっと笑顔で応えてくれるおかあさん。 怖くても、温かくても、ただそこにいてくれる優しい家族。 飛びたい。…
泣いて、笑って、叫んで、飛んで、生き返って、笑って、泣いて、叫んで、僕のために堕ちた。真っ逆さまだ。痛々しい手首に、突出した眼球、頬には流れた涙の跡があった。もう、戻れなくて悲しい。理解しているから、余計に悲しい。分かっているのに、思考が…
私は 冬の はじまり で君は 夏の おわり。夏が大嫌い。だって、冬は厚着さえすれば暖かいのに、夏は全裸になっても暑いのよ?耐えられない。ただ、外の茹だるような暑さから逃げるように喫茶店に入った時の空気の冷たさが、とても心地よいのは知っている。日…
良いか、俺はいつか人をころすぞ殺人鬼は人しかころさないんだ、素晴らしいとおもわないか僕の父さんはいつもそう言っていた長くて深い夜に限って 寝ている僕をわざわざ起こしてから 耳元でさらさらと流れるようにしゃべっていたくるしいけど 僕も人を殺した…
記憶が無くなっていく病を患った。 今朝食べたもの、さっき置いたボールペン、スーパーで買わなければいけない食品、支払わなければならない公共料金、母の顔、恋人の名前。 病は深刻で、進行も早かった。 両親は僕を心配して大きめの病院に連れて行った。 …
女の子が手招きしながら、僕を見て笑ってる。 僕は、そんな小心者でも無いので、その女の子のする通りにした。ついていった。 君は僕の何を知っているんだい? 私はあなたの全てを知っているわ。 そう。じゃあ心配ないね。 それだけの会話を投げつけて、放棄…