388のブログ

文章を置いておく場所

空を飛んだ話。

 
明日、私は空を飛ぶ。
何もない空に
飛びたい理由も特にない。
 
涙が出る理由を、私は知らない。
 
気持ちよくても、気持ち悪くても、ずっと笑顔で応えてくれるおかあさん。
怖くても、温かくても、ただそこにいてくれる優しい家族。
 
 
 
飛びたい。
私は、飛びたい。
 
夜中のうちに準備をした。
 
お風呂に入って、しっかり髪の毛のケアもした。
 
携帯は、ベッドに放り投げた。
ぼふっと沈んで、液晶画面がゆっくり暗くなった。
 
 
私は、生きていない。
死んでもいないし、ただ足がないだけかもしれない。
 
 
自然と空に浮かんでいった。
ゆっくり、ゆっくり上がっていった。
 
 
私の魂は、空に浮いて、ピンク色に発光した。
 
 
「私」という存在が、今亡くなった。
無くなった。
泣くなった。
なくなった。
 
 
なくなった。
 
 
綺麗な物語は、死があるの?
死があるから、綺麗なのよ。
 
おかあさん。 おやすみ。
 
 
境目は、どうしてあるの?
そんなもの、こわしてしまえばいいんだ。
 
おとうさん。おやすみ。
 
 
 
おやすみ
瞼の裏の世界に 私はいるよ